事務所ブログ

2014.08.06更新

前々回のブログで,夫の暴力から逃れたい場合等には,
まずは行動の自由の確保を最優先してほしい,
という話をしました。

ただ,運良く夫の下から逃れて行動の自由を確保できても,
夫に見つかってまた暴力を振るわれたら意味がありません。
では,夫の暴力から逃れ続けるにはどうしたらよいか。
例として,結婚して船橋市内で生活していたものの,
夫の暴力に耐えかねた妻が,夫の出勤中に家を逃れ出て,
着の身着のまま北千住の実家に駆け込んだ,
という設例を前提に,お話ししていきたいと思います。

設例の場合,逃げ込んだ先が北千住の実家であること,
及び夫が住んでいるのが船橋であることから,
妻の逃げ場所として疑われ,実家に乗り込まれたり,
そこまで行かなくても実家の周りをうろつかれたり,
ということが十分想定されます。
このような状態を阻止するための有力な手段が,
DV防止法の定める接近禁止命令等の制度です。

接近禁止命令は,上記設例の妻の場合であれば,
妻の住居その他の場所での妻に対する付きまといや,
妻の住居,勤務先等妻が通常所在する場所の近辺をうろつく,
といった行為を夫がすることを禁ずるものです。
命令に違反すれば,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
というかなり厳しい刑事罰が規定されていますので,
夫がそれなりに地位のある社会人であれば,
接近禁止命令の効果は絶大です。

また,接近禁止命令は,上記した付きまとい行為のほか,
必要に応じて,面会強要,電話,メール等の禁止の禁止も
併せて請求することができます。

さらに,妻との接近は禁止してもらっても,
実家のご両親の勤務先に押し掛けて迷惑をかける危険がある,
といった場合には,親族等への接近禁止も可能です。

加えて,例えば上記設例で,妻が子を伴って実家に帰ったが,
夫が子を取り戻そうとしているというような場合については,
子への接近禁止をしてもらうことも可能です。

ただし,裁判所が接近禁止命令を出すための要件は,
①暴行罪・傷害罪に当たるような暴行を受けたことがある
 or生命・身体に害を加えるという脅迫を受けたことがある
②今後,配偶者からの身体に対する暴力により
 その生命身体に危害を受けるおそれが大きい
という比較的厳格なものです。
夫の行動の自由を大幅に制約しかねない命令である以上,
ある程度厳格な要件があるのはやむを得ないところでしょう。
ですから,酷い暴言を浴びせられたが暴行まではないとか,
別居した後にさらに暴力を振るわれるおそれはないとか,
そういう場合には接近禁止命令は出ません。
また,仮に暴行があっても,そのことの証拠がなければ,
接近禁止命令を得ることは困難になるかもしれません。
夫が暴行を否定してきたら,証拠がどうしても必要です。

ですから,逃げ出した先で夫からの干渉を避けたいならば,
弁護士に法律相談に行くのも大切ですが,
それより何より,殴られたアザ等の写真を撮っておき,
可能であれば医師の診察を受けて診断書を書いてもらう,
といった証拠確保をしておく必要があるのです。

そして,さしあたっての証拠確保が終わったら,
弁護士に法律相談に行きましょう。
接近禁止命令の申立てを本人自身でするにせよ,
弁護士に依頼するにせよ,アドバイスを受けて行動すれば,
失敗も少なくなります。
当事務所の法律相談は初回60分無料,
夫の勤務中の昼間に相談したいとか,
夫が自宅に戻った後の深夜に相談したいとか,
土日・夜間を含むあらゆる時間帯の相談に対応します。
実家の両親と一緒に話を聞きたいとか,
外出して夫に見つかりたくないという場合ならば,
ご指定の場所に出向くこともできますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.05更新

離婚の法律相談を受けていると,相談者様から,
もう何年も別居してるんだから離婚できますよね,
なんていわれることがあります。
確かに,長期間の別居は,民法770条1項5号にいう
「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無の判断において,
重要な判断要素となっています。
ですから,長期間別居していれば離婚請求が認められやすい,
ということ自体は間違いではありません。
ただ,別居期間だけでは離婚できるかどうかは決まらず,
長期間別居していても離婚が認められないこともあります。

少し詳しくお話しすると,離婚請求が認められる場合は,
民法770条1項所定の要件を満たした場合であり,
①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
のいずれかの要件を満たす必要があります。
①から④までの具体的事情がある場合はそれでよいですが,
そうした事情がない場合は,⑤に頼ることになります。

⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由」とは,
婚姻関係が破綻し回復の見込みがないことをいいます。
そして,婚姻関係が破綻し回復の見込みがないかどうかは,
婚姻中における両当事者の行為や態度,
婚姻継続の意思の有無,子の有無,子の状態,
さらには双方の年齢・健康状態・性格・経歴・資産収入など,
当該の婚姻関係にあらわれた一切の事情が考慮される,
とされています(新版注釈民法(22)p.280)。

夫婦は通常,同居して共同生活を営むものですから,
長期間の別居は,夫婦に協働関係を営む意思がないこと,
さらには婚姻継続の意思がないことの現れとして,
または夫婦関係の実態が存しないことの現れとして,
⑤の離婚原因を肯定する方向の一事情と扱われます。
ただ,形式的に同居はしていても仮面夫婦の場合もあれば,
単身赴任はしていても夫婦仲は非常によい場合もあるので,
単に長期間の別居だけでは⑤の離婚原因は認められません。

また,別居に至る原因によっても結論は異なります。
たとえば,東京高判平1.5.11判タ739-197では,
夫が姑の嫁いびりや追い出しに加担していた事案で,
別居期間が10年の長期間に及ぶにもかかわらず,
夫からの離婚請求を棄却する判断を下しています。
なお,この判決に対して夫がした上告も棄却されており,
東京高裁の判断に最高裁もお墨付きを与えています。
別居に至る原因において帰責性が高い者の離婚請求は,
別居期間が長くても認められない可能性が高いわけです。

余談になりますが,既婚の裁判官のかなりの割合の人は,
転勤のたびに夫婦で転居するわけにもいかないため,
やむなく単身赴任をしています。
夫が北千住の法律事務所に勤めて子どもの面倒を見る一方,
妻は群馬の裁判所に赴任している,なんてこともあります。
そんな人たち相手に,「別居しているから離婚原因がある!」
と主張しても,認めてもらえないのは当然かもしれませんね。

このように,離婚請求が認められるか否かは,
別居期間だけで決まるような簡単なものではありません。
確実に離婚したいと望むならば,
最低限,法律相談で必要な対処のアドバイスを受け,
それから相手方との交渉等に臨むべきでしょう。

当事務所では,初回無料の法律相談や民事法律扶助の他,
御希望の方には判例等を調査した上での書面による報告や,
調停・裁判の期日に先立つアドバイス等にも応じています。
相談や打ち合わせは土日・夜間も対応していますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.04更新

前回お話ししたとおり,法的問題にならないかもしれない,
と思う場合でも,世間話程度の軽い気持ちで御来所くだされば
私としては喜んで歓迎させていただきます。

そうではなく,自分にとってはとても重要な問題なので,
まずは自分なりに調べてみてから法律相談に行きたい,
ということなら,それはそれで大歓迎です。
最近はインターネットで色々な情報が手に入りますし,
書店や図書館にも法律関係の書籍が置かれています。
自力で対処するにしても,弁護士に依頼するにしても,
自分なりに一定程度の知識を得ておくことは,
決してマイナスにはならないのですから,
時間に余裕があるのならばぜひ調べてみてください。

ただし,束縛がきつかったり暴力傾向がある夫から逃げたい,
といったお悩みをお持ちの方の場合は,
悠長に調べ物をしているような余裕はありません。
数少ない脱出の機会を生かすことが最優先になります。
離婚の交渉をするにせよ,先行して保護命令を得るにせよ,
まずは行動の自由が確保されている必要があります。
その意味で,離婚するための万全の条件を整えよう,
というのも場合によりけりということになります。

なお,配偶者の暴力から逃れるための相談窓口としては,
以下に紹介するようなものがあります。
夜間にも対応してくれている機関もありますので,
悩んでいる方を見かけたら紹介してあげて下さい。
・東京都女性相談センター 03-5261-3110
・同(夜間・緊急) 03-5261-3911
・同多摩支所 042-522-4232
・東京ウィメンズプラザ 03-5467-2455
・警視庁総合相談センター 03-3501-0110
・(夜間・緊急) 110番

この他,各自治体の相談窓口でも相談を受け付けています。
荒川区なら荒川区役所内の福祉事務所等,
北千住周辺なら足立区役所千住福祉課等が対応しています。
これら機関は,どこでも相談に行けば他機関と連携を取って
すぐに動いてくれるようになっていますので,
一番近い場所,逃げやすい場所に行って下さい。
いざとなったら110番で警察に助けを求めましょう。

もちろん,当事務所に御相談いただければ,
緊急の場合の相談窓口の紹介から離婚全般のお悩みまで,
幅広く対応しておりますのでお任せください。
もちろん相談料は無料,土日夜間も対応しております。
電話が通じなければメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.03更新

このブログでは,当事務所のある南千住やその周辺の荒川,
三ノ輪,入谷,北千住等の地域の皆様に役立つ情報として,
離婚,相続,借金,交通事故,残業代などを中心に,
解決のポイントなどについてお話ししてきました。

世の中には,そうした類型に当てはまらない事件,
たとえば不動産の賃貸借や売買にかかわる紛争や
悪徳商法等による消費者トラブルなどもあります。
そうした事件をまとめて一般民事事件といいますが,
当事務所は一般民事事件も広く取り扱っています。

たとえば,敷金返還や家屋明渡し,賃料増減等,
地域の団体やマンション自治会内部のトラブル,
交通事故をめぐる保険会社や介護施設との折衝,
建物建築請負をめぐる瑕疵修補等の紛争,
事件・事故に関する損害賠償請求訴訟など,
これまで様々な事件を取り扱ってきておりますので,
ホームページやブログに書いていないからと思わず,
悩み事があるなら御相談下さい。

また,消費者トラブル関係の事件については,
時代によってトラブルの態様や対処方法が異なるため,
常に最新の知識を取り入れていかないと対応しきれません。
そこで,私は,研修等で最新の知識を取り入れ,
皆様の御相談に的確に対処できるよう準備をしております。

悩んでることがあるけど,弁護士に相談するようなことでは...
と思っておられる方も多いと思いますが,
法律問題になると思っていたらそうでもなかったり,
大したことのない問題に見えてトラブルの芽が隠れていたり,
相談してみてはじめて分かることもあります。
世間話をしにきたよ,ということでも歓迎しますので,
ぜひ涼みがてらにでも御来所下さい。
なお,世間話で相談料を取るような無粋なことはしませんし,
法律相談でも初回60分まで無料です。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.01更新

昨日,刑事弁護を依頼するなら東京拘置所の近くの
北千住の事務所か当事務所がおすすめ,
という話をしました。
その流れで,今日は刑事弁護の話をしましょう。

犯罪をして警察に捕まる,などということは,
ふつうに生きていると想像もしないことかもしれません。
ただ,車を運転している人であれば,どんなに注意しても,
何かの弾みで人身事故を起こす可能性は否定できません。
そして,人身事故も立派な犯罪になるのです。

わが国では,犯罪を犯した嫌疑のある者の大部分は,
逮捕されて刑事施設に収容されます。
必ずしも必要性のない身柄拘束を安易に認める傾向は,
わが国の司法の大きな問題点のひとつだと思いますが,
それはさておき,人身事故を起こしてしまった場合も,
多くの場合は逮捕されて収容されることになります。

何度も逮捕されたことがあって場慣れしている,
というような救いようのない人もいますが,
そうした特異な例外を除き,逮捕された人のほとんどは,
先行きに対する不安などで追い詰められた心理になります。
こうした追い詰められた心理の中で取り調べを受けたため,
心にもない迎合的供述をしてしまい,冤罪につながる,
などという不幸な先例も相当数起こっています。
こうした不幸な事態に陥らないためには,
一刻も早く弁護士を依頼して接見してもらい,
取調べへの対処などについてアドバイスを受けるとともに,
今後の手続の流れについてレクチャーを受け,
不安を少しでも払拭しておく必要があります。

また,犯罪によって被害を被った者がいる場合には,
速やかに謝罪するとともに,被害の回復や慰謝のための措置,
たとえば示談金や慰謝料の支払などを行う必要がありますが,
身柄拘束されていてはそうした行動は不可能です。
このため,示談等は弁護士に代行してもらわなければなりません。

逮捕から公訴提起までの期間は最長23日間,
逮捕されて収容されている人にとっては長い時間になりますが,
検察官に連絡して被害者様が示談交渉に応じてもらえるか確認し,
被害者様の連絡先を教えてもらった上でアポを取り,
条件を詰めて示談をまとめるまでにはそれなりの時間を要します。
ですから,身近な人が逮捕された,というときは,
すぐに弁護士を依頼して,活動を始めてもらうことをお勧めします。

なお,私は営業時間外には事務所にいないことが多いですが,
自宅でも適宜事務所アドレスへのメールのチェックをしています。
電話が通じないからといって,連絡がつかないわけではないので,
緊急の要件,たとえば身近な人が夜に逮捕された,という場合は,
メールで御一報下さい。

また,逮捕されてはいないものの,
今後捜査の対象になりそうで不安だ,という場合も,
事前にアドバイスを受けておけば安心できることが多いので,
まずは当事務所に御相談下さい。
当事務所の法律相談は土日・夜間も対応,初回60分無料です。
ぜひお気軽にご連絡下さい。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.07.30更新

弁護士費用というと,高額の着手金・報酬...
というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
当事務所は,報酬をできるだけ低く抑える相談にも,
積極的に応じさせていただいておりますが,
それでも数十万円という着手金・報酬は安くはありません。

ただ,着手金・報酬よりも意外とかさむのが旅費・日当です。

一般の民事事件でも家事事件でも,裁判や調停の提起は,
相手方の居住地の裁判所で行うのが原則ですので,
たとえば,北千住で生活していた夫婦のうちの妻が,
夫のDVから逃れて広島市内の実家に逃げ帰った場合,
妻が行う離婚調停の申立先は東京家庭裁判所になります。
広島市の実家から相談に行きやすいのは広島の弁護士ですが,
広島の弁護士に離婚事件の処理を依頼したら大変です。

調停は,おおむね月に1回のペースで期日が入ります。
そして,初回で調停が終わるということはほとんどなく,
最低でも2~3回,平均で5~6回は期日が入ります。
そうすると,東京までの往復交通費が新幹線利用で約4万,
東京での宿泊費が1万5千円として,
毎期日5万5千円の出張旅費を支払う必要があります。
5回分なら27万5千円ですから,かなり重い負担です。
しかも,その弁護士がグリーン車を利用したり,
宿泊費が高いホテルを利用すればさらに負担が増えます。
さらに,これとは別に最低1日分の日当が発生します。

このように考えると,弁護士に事件を依頼するのであれば,
裁判や調停を起こす裁判所の近くの弁護士に依頼するのが
ベターということになります。

刑事事件でも似たような状況が生じます。
たとえば,多くの法律事務所が集中する虎ノ門から,
東京拘置所まで接見に行くとすれば,
虎ノ門から小菅までの運賃が往復780円,
それに事務所から片道で小一時間かかりますから,
接見時間も含めればほぼ半日を費やしますので,
半日分の日当を請求されるでしょう。
2週間の未決勾留期間中,2日に1回のペースで
7回接見し,その後公判段階で3回接見した場合,
日当を接見1回に月1万円まで下げてもらっても,
旅費・日当で11万円もかかってしまいます。
これに対し,北千住の法律事務所や当事務所であれば,
東京拘置所まですぐ近くですから,
旅費も少額か請求されない可能性が高くなりますし,
所要時間が短いので日当も少額になりやすいです。
ちなみに,当事務所は,東京拘置所での接見であれば,
原則旅費・日当は請求しておりません。

こんなことを言うと,東京地家裁の事件に関しては
まったく逆なのでは?と突っ込まれそうですが,
実は虎ノ門から霞が関までの片道交通費は170円,
南千住から霞が関までの片道交通費は200円です。
しかも南千住から有楽町までJRなら170円。
交通費の面での不利益はほとんどないのです。

当事務所では,裁判や調停をどこで提起するのかや,
どうやって弁護士を探せばよいかという点も含めて,
適切にアドバイスをさせていただいております。
修習地の新潟,過去に仕事をしていた広島の他,
同期弁護士や出身大学のネットワークを使い,
遠隔地の弁護士でも紹介が可能です。
相談料は初回60分無料,土日・夜間も相談対応。
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.07.29更新

今日は夕方から,弁護士会主催の中小企業研修に参加してきました。
中小企業支援を主たる業務としている弁護士でなくとも,
事務所を経営している弁護士は自身も中小企業の経営者ですから,
中小企業支援に関する情報を得ることには大きなメリットがあります。
今回の研修も,優れた講師の方から有益な情報を得られましたが,
中でも特に印象的だったのは,お客様との打ち合わせの重要性です。

講演のなかで,中小企業支援では,企業の真の強味を活かす必要があり,
その企業の経営者は身近な事柄であるだけに,逆にそれに気付かない。
そこをアドバイザーが補い,真の強味を活かす方法を探って行くべき,
というお話が講演の中に出てきたのですが,
これは弁護士と依頼者様との関係にもあてはまることです。

私のこれまでの経験の中でも,依頼者様とじっくり打ち合わせをして
本当に良かったと痛感したことは少なくありません。
たとえば,こんなことがありました。
別の弁護士の下で自己破産をしてもらったのに債権者から請求が来た,
という相談を受けて,自己破産の記録を確認したところ,
その債権者は自己破産の債権者一覧表に記載されていませんでした。
こうなると,その債務は免責されない可能性が発生してしまいます。

相談者様がその債務のことを弁護士に言っていなかったとすれば,
必ずしも弁護士の失態とはいえないのですが,
自己破産ではすべての債務を申告する必要があることをきちんと説明し,
債務に関する資料はすべて事務所にご持参いただくようにするなど,
全債務を把握する努力をしていれば避けられたかもしれないミスです。
その意味で,弁護士の責任がないとはいえないでしょう。

これはもう,請求に応じるしかないかなと思ったところで,
相談者様がふと,「何年も請求してこなかったのに今さら...」
とおっしゃったのを聞いて,それなら消滅時効の主張ができる!
と気付くことができました。
その後は,消滅時効を前提に債権者と交渉し,
うまくトラブルを解決することができました。
もし,相談者様との打ち合わせを中途半端にしたまま,
請求に応じることにしていたら,と思うと,
相談者様の話をじっくり聞くことの重要性を痛感します。
同時に,相談者様がうかつに請求に応じることなく,
相談にきてくれたからこそ,解決ができたわけですから,
相談者様の的確な判断に敬意を表したいところです。

当事務所では,依頼者様からじっくりお話を聞くため,
法律相談を初回60分無料としております。
土日・夜間も相談に対応しており,この場合も相談料は同じです。
また,ご都合で自宅から出にくいという方についても,
上野,北千住近辺までなら交通費無料で相談に出向いております。
ぜひ電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.07.26更新

借金の問題を起こさないよう気をつけていても,
予想外の出来事から返済計画が狂ってしまうことは
それほど珍しいことではありません。

急なリストラや会社の倒産で職を失ってしまう場合,
自分や家族の病気・介護等で退職を余儀なくされた場合など,
予定どおりの収入が得られなくなる場合のほか,
保証していた親族の自己破産や交通事故を起こした場合など,
予定外の債務を負わざるを得なくなる場合,
さらには,経営していた会社の倒産のように,
収入・支出の両面で予定が狂うこともあります。

そうした場合でも,転職に成功して相応の収入があり,
可処分所得の中で相応の返済計画が立てられる場合であれば,
前回お話しした任意整理の手続を進めることで,
さほど手間や費用をかけず,資格制限等も受けることなく
借金関係のトラブルを解決することができます。

ただ,経営していた会社の倒産の場合を典型として,
現時点の収入を前提とすると債務の返済が困難という場合,
法的整理の手続である自己破産に踏み切らざるを得ません。

「戸籍が汚れる」とか「債権者に顔向けできない」とか,
自己破産にネガティブなイメージを持っている方もおられますが,
戸籍には自己破産の事実は一切記載されません。
破産手続開始決定と免責決定については官報で公告されますが,
官報を毎日隅々まで見ている人などほとんどいませんから,
自己破産したことを他人に知られる可能性は極めて低いのです。

また,債権者との関係でも,いずれ債務を返済できるなら別として,
既に返済不能ならば,債務者の資産が流出したり劣化する前に,
早急に法的整理を行って債権回収を図る必要が生じます。
破産法18条1項は,破産手続開始の申立権を債権者に与えていますが,
それは破産手続が債権者にとってもメリットになるからなのです。
債権者のためを思うなら,むしろ積極的に自己破産すべきです。

自己破産は,債務者が返済不能な債務を抱えた状態という,
債権者にとっても債務者にとっても身動きできない状態から,
債権者に対しては可能な限り多くの債権回収を,
債務者に対しては経済的な再起の機会を提供することで,
双方の利益の最大化を図る制度なのてす。
自己破産で悩んでいる方は,そのことをよくお考え下さい。

ただし,自己破産には相応のデメリットも伴います。
警備員や保険外交員など一部業種の資格制限が生じるほか,
信用情報機関のブラックリストに載ってしまうため,
クレジットカード作成やローンはしばらくの間不可能になります。
また,破産手続の中では,破産に至った経緯や今後の生活の展望等,
破産者の生活面に踏み込んだ厳しいチェックが行われます。
確実に免責を得て経済的再生を図ろうとするのであれば,
嘘や隠し事をするのは論外として,裁判所の疑問に真摯に回答し,
必要な説明に積極的に協力していく必要があるのです。

自己破産したほうがよいのかどうか,
自己破産するとして,どんな形で手続を進めたらいいのか,
お悩みの方は,一人で抱え込まずに御相談下さい。
当事務所は土日・夜間を含む24時間,
初回60分無料で法律相談に対応しております。
法律事務所への出入りを見られたくない,という場合には,
ご指定の場所に出向いて相談に応じることもできます。
その際,往復交通費だけはご負担をお願いしておりますが,
地元南千住を中心に,上野,北千住,町屋程度までならば
交通費も無料とさせていただいております。
まずは電話かメールで,ご連絡下さい。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.07.24更新

昨日は借金の問題を自力で解決する方法をお話しましたが,
もはや自力での解決が困難になった場合には,
なるべく早めに弁護士等に相談して対処する必要があります。

ところで,弁護士等に依頼して借金問題を解決するというと,
自己破産を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。
たとえば,経営していた会社が倒産したことによって,
巨額の連帯保証債務を負うことになってしまった,
などという場合は,個人の資力での返済は不可能であり,
自己破産以外の選択肢は考えにくいことになります。

これに対して,債務の額がそれほど多額ではなく,
返済条件次第で返済していくことが可能な場合には,
自己破産という手続をとらず,債権者と話し合いをして,
返済条件の変更(リスケジュール)を行うこともあります。
これを一般に,任意整理と呼びます。
任意整理は,自己破産などの法的整理と違い,
信用情報の面での悪影響が小さく,
自己破産に伴う資格制限等も受けないで済むうえ,
時間と費用を節約できるというメリットがあります。
そこで,任意整理で解決可能な事案については,
任意整理をおすすめしております。

ただ,任意整理の場合に注意してほしいのは,
自己破産や個人再生などの法的整理の場合と異なり,
返済条件は変わるものの債務の完済が必要であって,
原則として債務の額が減ることはない,ということです。
弁済条件を変更すること自体,本来は約束違反であり,
任意整理はその約束違反を交渉で実現するものですから,
債務の額が減らないのはやむを得ないとお考えください。

なお,かつては過払金という形で債務を大幅にカットできたり,
金融業者からお金を取り戻せるといったこともありましたが,
過払金発生の原因であるグレーゾーン金利での貸付けは,
現在では一切行われておらず,
また,過去のグレーゾーン金利の貸付けについても,
既にほとんどが時効にかかってしまっていますので,
現在では,過払金による債務のカットはほとんど期待できません。

昨日もお話ししたとおり,債権者の数が少なく,
しかも1か月か2か月で支払を再開できる場合であれば,
債権者に連絡をとって自力で解決することをお勧めしますが,
債権者の数が多かったり,短期間の支払再開が困難な場合,
債権者との交渉は弁護士等に委ねてしまい,
ご自身は生活の再建に専念する方が効率的です。

当事務所では,相談者様の状況をじっくり伺い,
自力解決で何とかなるのか,それとも任意整理をするか,
さらには法的整理まで進まざるを得ないのか,
状況に応じた適切なアドバイスを行っております。
相談は初回60分無料,土日・夜間の相談も可能ですし,
仕事の都合等で事務所に行けないという場合は,
出張しての相談にも応じます。
上野・北千住近辺であれば出張旅費もいただきません。
弁護士費用についても,法テラスの利用等,
依頼者様のご負担をできるだけ減らせるような形で
適切にアドバイスしておりますので,
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.07.23更新

借金でお悩みの方はまず相談を,という言葉を
弁護士やその他士業の方のホームページ等でよく見ます。
既に多額の借金を抱えてしまっているとか,
月々の返済で生活が圧迫されているとかいう状態ならば,
なるべく早く相談に来ていただいて対処するのが最善ですが,
そもそも,弁護士等に相談しに行かなければならないという,
そんな状態を避けるためにはどうしたらよいでしょうか。

誰でも考えつく最も確実な方法は,借金をしないことです。
借りさえしなければ返す必要もないのですから,
実現できればこれほど確実な方法はありません。
ただ,借金と全く無縁で生活できる人など希でしょう。
これを書いている私自身にしても,奨学金の返済がありますし,
事業をしておられる方なら借入はほぼ必須でしょう。

そこで,次善の策として,可処分所得をしっかり把握し,
可処分所得の範囲内で借り入れる必要があります。
その際,見込み収入は少なめに,見込み支出は多めに,
それぞれ見積もっておけば,返済計画に余裕が出ます。
もう少し借りても返せる,というくらいの余裕がないと,
不意の支出や収入減で簡単に返済計画が頓挫してしまいます。
特に,自営業者の方や歩合給で収入が安定しない方は,
収入見込みを厳しめに考えておかなければなりません。

そして,仮に不意の支出や収入減で返済計画が頓挫して,
1~2か月だけ返済が困難になったというような場合は,
黙って返済をやめてしまうのではなく,
債権者と連絡をとって事情を話し,
返済猶予などの対応ができないか相談してみましょう。
あえて弁護士等を頼まずとも,債権者と相談することで
トラブルを解消している方はたくさんおられます。
逆に,債権者に何も言わずに支払を止めてしまうと,
債権者が不信感を抱いてしまうため,
返済が可能になっても信用されずに裁判を起こされたり,
面倒なことになりかねませんので注意してください。

借入をするにあたって,以上のことに気をつけていれば,
借金をめぐるトラブルを回避できる可能性は高くなります。
もっとも,不意の交通事故や病気で職を失ったり,
職を失わないまでも収入が激減することはあり得ますし,
交通事故を起こしてしまって多額の賠償債務を負ったため,
他の借金の返済が困難になるなんてこともあります。
上でお話ししたような短期的な支払困難ではなく,
元々の返済計画に従った返済が数ヶ月以上できない場合や,
債務の額が大きい場合,債権者数が多数の場合などは,
弁護士等に依頼して債務整理を行うことをおすすめします。

当事務所では,相談者様の状況をお伺いして,
弁護士等を依頼せずに解消出来るレベルの問題か,
もはや弁護士等に依頼すべき問題か,判断して,
適切な対処をアドバイスさせていただいております。
法律相談に行くにも仕事があるから,という方も,
土日・夜間を含む24時間の相談に対応しております。
また,当事務所までの交通費の支出も厳しい,
ということであれば,事務所外の相談にも対応しますし,
北千住・上野程度までの距離なら出張旅費も無料です。
相談料自体も初回60分まで無料ですので,
お気軽に電話かメールで当事務所までご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

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