事務所ブログ

2014.08.05更新

離婚の法律相談を受けていると,相談者様から,
もう何年も別居してるんだから離婚できますよね,
なんていわれることがあります。
確かに,長期間の別居は,民法770条1項5号にいう
「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無の判断において,
重要な判断要素となっています。
ですから,長期間別居していれば離婚請求が認められやすい,
ということ自体は間違いではありません。
ただ,別居期間だけでは離婚できるかどうかは決まらず,
長期間別居していても離婚が認められないこともあります。

少し詳しくお話しすると,離婚請求が認められる場合は,
民法770条1項所定の要件を満たした場合であり,
①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
のいずれかの要件を満たす必要があります。
①から④までの具体的事情がある場合はそれでよいですが,
そうした事情がない場合は,⑤に頼ることになります。

⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由」とは,
婚姻関係が破綻し回復の見込みがないことをいいます。
そして,婚姻関係が破綻し回復の見込みがないかどうかは,
婚姻中における両当事者の行為や態度,
婚姻継続の意思の有無,子の有無,子の状態,
さらには双方の年齢・健康状態・性格・経歴・資産収入など,
当該の婚姻関係にあらわれた一切の事情が考慮される,
とされています(新版注釈民法(22)p.280)。

夫婦は通常,同居して共同生活を営むものですから,
長期間の別居は,夫婦に協働関係を営む意思がないこと,
さらには婚姻継続の意思がないことの現れとして,
または夫婦関係の実態が存しないことの現れとして,
⑤の離婚原因を肯定する方向の一事情と扱われます。
ただ,形式的に同居はしていても仮面夫婦の場合もあれば,
単身赴任はしていても夫婦仲は非常によい場合もあるので,
単に長期間の別居だけでは⑤の離婚原因は認められません。

また,別居に至る原因によっても結論は異なります。
たとえば,東京高判平1.5.11判タ739-197では,
夫が姑の嫁いびりや追い出しに加担していた事案で,
別居期間が10年の長期間に及ぶにもかかわらず,
夫からの離婚請求を棄却する判断を下しています。
なお,この判決に対して夫がした上告も棄却されており,
東京高裁の判断に最高裁もお墨付きを与えています。
別居に至る原因において帰責性が高い者の離婚請求は,
別居期間が長くても認められない可能性が高いわけです。

余談になりますが,既婚の裁判官のかなりの割合の人は,
転勤のたびに夫婦で転居するわけにもいかないため,
やむなく単身赴任をしています。
夫が北千住の法律事務所に勤めて子どもの面倒を見る一方,
妻は群馬の裁判所に赴任している,なんてこともあります。
そんな人たち相手に,「別居しているから離婚原因がある!」
と主張しても,認めてもらえないのは当然かもしれませんね。

このように,離婚請求が認められるか否かは,
別居期間だけで決まるような簡単なものではありません。
確実に離婚したいと望むならば,
最低限,法律相談で必要な対処のアドバイスを受け,
それから相手方との交渉等に臨むべきでしょう。

当事務所では,初回無料の法律相談や民事法律扶助の他,
御希望の方には判例等を調査した上での書面による報告や,
調停・裁判の期日に先立つアドバイス等にも応じています。
相談や打ち合わせは土日・夜間も対応していますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所