事務所ブログ

2014.08.18更新

前回,親権・監護権をどちらが担うか,
についてお話ししました。
そこで,今回はこれに関連して,
男性側で親権を取れるのか,という点について,
少し掘り下げてお話ししてみます。

親権をどちらが担うかで夫婦が争った場合,
考慮要素の1つに母性優先が挙げられていますし,
また,是非はともかく,育児についての関与度合いでは
父親が母親を上回るケースは滅多にありません。
そうすると,前回挙げた考慮要素に沿って判断する限り,
女性側が圧倒的に有利になります。
特に,子の年齢が低ければ低いほど,
子の健全な育成のための母性的存在の必要性が高まるため,
よりいっそう女性側が有利になってきます。

その反面,親権争いでは基本的に不利な男性側でも,
いくつかの条件が揃えば,不利を覆すことが可能になります。

男性側有利となるのは,以下のような場面です。
まず,監護実績及び看護能力と関連して,
母親側の監護能力の低さが客観的に証明されており,
その反面,父親側の監護能力に問題がない場合は,
男性側有利になってきます。
例えば,母親が強度の虐待を行ったことが明らかである反面,
父親側は実家の両親の助力を得て十分な監護ができる場合は,
男性側有利といえるでしょう。

次に,子自身の意思と関連して,
小学校高学年以上の子が父親との同居を望む場合,
男性側有利となります。

さらに,奪取の違法性等に関連して,
例えば,母親が子を置いて家出したため,
やむなく父親が子の世話をしていたところ,
母親が不法に子を連れ去って一切父親との面会をさせない,
というような場合には,男性側が有利になるでしょう。

こうした男性側有利な事情が数多く揃えば揃うほど,
その分だけ男性側有利の程度が大きくなり,
最終的には圧倒的な女性側有利をはねのけることができます。

もっとも,圧倒的な不利からのスタートですから,
多少有利な事情があってもそう簡単には不利は覆りません。
本気で不利を覆し,親権を得たいと考えるのであれば,
相手方に不利な事情の証拠を固めておいたり,
常日頃から育児に熱心にかかわって監護能力を高め,
監護を補助する実家の両親等との接点も多く設けておくなど,
事前の周到な準備が欠かせません。
そして,的確な準備を行うためには,
こうした案件に強い弁護士の助力が不可欠です。

なお,男性側が親権を得るということは,
子から実の母親を奪うことでもあります。
夫から見て結婚生活を続けられない落ち度のある妻でも,
子から見れば二人とはいない大切な母親です。
本当にそうすることが子のためになるのか,
妻としての落ち度と母としての落ち度を混同していないか,
面会交流で顔を見られることでは足りないのか,
親権争いをする前に考えてほしいと思います。

しっかり考えて,子のために親権を得なければならない,
と決断されたならば,当事務所に御相談下さい。
以前男性側で親権を獲得した経験も複数回ありますので,
十分お役に立てるのではないかと思います。
初回60分無料で土日夜間も対応していますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.16更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,⑥親権・監護権をどちらが担うか,
についてお話しします。

わが国では,婚姻中の夫婦の間の子は,
夫婦が共同して親権を行使することになっていますが,
その夫婦が離婚した場合,共同の親権行使はできず,
夫婦のいずれか一方のみが親権を持つことになります。
そこで,どちらが親権を委ねられるべきか,ということが,
離婚に際して大きな問題となってきます。

また,監護権とは,子どもの現実の監護をする権利,
もっと簡単に言えば日々の面倒を見る権利のことであり,
本来は親権に含まれるものなのですが,
離婚前の別居状態でどちらが監護をすべきか,
という場面では,親権とは切り離されて問題になります。
例えば,夫婦が元々住んでいた船橋の自宅で夫が生活し,
妻が北千住の実家で生活しているという場合,
そのどちらが子どもの監護をするか,ということです。
もっとも,別居時に監護権をどちらに委ねるかという問題は,
離婚後に親権をどちらに委ねるかという問題と同じですから,
基本的には親権と同じものと考えてよいです。

親権を夫婦のどちらに委ねるかは,
何より子の福祉,すなわち子どもにとって最善の選択,
という観点から決定されます。
具体的には,おおむね次の8点を考慮して決定されます。
①これまでの監護実績及び現在の監護状況
②子自身の意思の如何
③母性優先
④面接交渉等,裁判所の指示に従うか
⑤兄弟不分離
⑥奪取の違法性の有無
⑦夫婦双方の監護能力の高低
⑧夫婦双方の経済的能力の高低

まず,①これまでの監護実績及び現在の監護状況は,
これまで及び現在の監護の状況を考慮して,
監護実績がある者にそのまま子の親権を委ねよう,
という方向で考慮されます。
すなわち,育児にほとんどかかわっていなかった者が,
急に子の親権がほしいと言い出しても不利になります。

②子自身の意思の如何は,おおむね10歳以上の子であれば,
子自身の意思が相当大きな要素として考慮されます。
これに対し,それ以下の年齢,特に就学前の幼児については,
子自身の意思はそれほど考慮されません。

③は,母性的存在が子の生育に重要な影響を与えることから,
年齢が低い子ほど母親が優先されるというものです。
ただし,母親でなければ母性的存在になれないわけではなく,
絶対的に母親が優先するというものではありません。

④面接交渉等,裁判所の指示に従うか,は,
離婚に際する交渉の過程で,面会交流の円滑な実施等,
子の福祉のために必要な指示を裁判所が行った場合に,
これに従う親を優先的に親権者にするというものです。

⑤兄弟不分離は,子が複数いる場合,
その複数の子はなるべく分離せず一方の親に親権を委ねる,
ということです。

⑥奪取の違法性の有無は,子の監護の開始に際して,
子をその意思に反して奪い去るような行為があれば,
それを振りに考慮すると言うことです。

⑦夫婦双方の監護能力の高低は,①とも関連しますが,
親権が帰属すべき親自身の監護能力に加えて,
親に協力して子の監護に携わる看護補助者,
例えば祖父母などの監護能力の程度や関与度合い等も,
監護能力の考慮要素となります。

最後に,⑧夫婦双方の経済的能力の高低は,
子の監護の基盤となる経済力があるか否かを考慮しますが,
養育費の支払を受けることでクリアできる問題なので,
あまり重要な考慮要素にはなりません。

以上の事情を総合して,親権の帰属が決定されます。
ただ,両親が離婚するということだけでも,
子どもは少なからぬ影響を受け,傷ついています。
②の子の意思を確認するようなことになれば,
いっそうその傷は深くなってしまいます。
できればそんなことにならないよう,
話し合いで解決するよう努めてほしいところです。

親権に関しては,なるべく早めに相談していただければ,
その分だけ有利な要素を増やしていくことができます。
初回60分無料で土日夜間も対応していますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.15更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,⑤離婚時年金分割についてお話しします。

離婚時年金分割の制度は,特に熟年離婚の場合に,
例えばサラリーマンの夫は厚生年金を受給できる一方,
結婚期間中厚生年金保険料の支払に貢献した妻は,
離婚後何ら保険料の分配を受けられないため,
そうした不都合を避けるために,
夫が将来支給を受ける厚生年金・共済年金について,
妻もその分配を受けられるようにした制度です。

もっとも,これは夫婦の一方が将来受け取る厚生年金や
共済年金を分割するという制度ですから,
夫婦の双方が国民年金に加入している場合には,
年金分割の制度は利用できません。
また,分割されるのは,妻の貢献がある期間のみ,
すなわち婚姻期間中の支払額に相応する年金に限られますし,
厚生年金部分・共済年金部分に限られています。

さらに,分割割合が2分の1だからといって,
年金の半分をもらえるというものではありません。
婚姻期間にもよるので何ともいえませんが,
手取り年金額はそれほど増えないというのが現実のようです。
具体的にどの程度年金額が増えるか(あるいは減るか)は,
必要に応じて社会保険労務士さんに計算してもらいましょう。
なお,平成20年4月1日以後の年金分割は,
いわゆる3号分割として,合意なしで2分の1になりますが,
それ以前はいわゆる合意分割として,
夫婦双方の分割割合についての合意が必要となります。
夫婦間で合意できない場合は裁判所が割合を決めます。

離婚時年金分割は,財産分与と同様,
公平な財産関係の清算のための手段ですから,
分割請求できる人はぜひ利用してほしいですし,
分割請求を受ける方も,積極的に協力してあげてください。

年金分割の手続は,お住まいの地域を管轄する年金事務所に,
年金分割のための情報提供請求書を提出して情報提供を受け,
調停等をしている場合はこれを家庭裁判所に提出し,
調停・審判が終わったら再び年金事務所に行き,
調停調書・審判書を添えて標準報酬改定請求を行う,
という形で進んでいきます。
北千住にお住まいなら,綾瀬にある足立年金事務所,
南千住にお住まいなら,熊野前の荒川年金事務所が,
それぞれ管轄の年金事務所になりますので,
必要に応じて出向くか手続の代行を依頼してください。

なお,当事務所では,年金分割に関して不明な点の相談や,
手続の代行の依頼を積極的にお受けしております。
相談料は無料,土日・夜間も相談に対応しておりますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.14更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,④慰謝料の支払の要否・額,
についてお話しします。

離婚に至る原因にはいろいろありますが,
夫婦の一方の行為が原因で婚姻関係が破綻し,
離婚を余儀なくされた場合には,
その原因を作った者に対する慰謝料請求が認められます。

例えば,代表的な慰謝料請求の原因としては,
不貞行為が挙げられます。
不貞行為とは,夫婦の一方が,夫婦以外の者と,
性的な結合を持つことをいうとされています。
もっとも,慰謝料請求は,不貞が明らかな場合,
すなわち探偵業者の調査等で証明できる場合だけでなく,
特定の異性と親密な関係を継続していたことにより,
夫婦関係が破綻に至ったという場合にも認容されます。
例えば,夫婦の他方以外の異性と一緒に箱根に行くため,
北千住からロマンスカーで二人きりで旅行をしたものの,
その旅行の際には肉体関係に至るようなことはしていない,
というような場合でも,それが婚姻関係破綻の原因となれば,
慰謝料請求は肯定されます。
その意味では,慰謝料請求のハードルは意外と低く,
不貞行為の確たる証拠がなければ慰謝料支払の必要がない,
というわけではないので,その点は注意してください。

不貞行為以外でも,DVや性生活の不当な強要・拒否等でも
それによって婚姻関係が破綻したといえる場合には,
慰謝料請求が認められています。

ただし,婚姻関係破綻の原因が夫婦の双方にあり,
いずれか一方にのみ責任があるとはいえない場合には,
慰謝料請求は否定されてしまいます。

他方,離婚を余儀なくされたことによる慰謝料とは別に,
DVで大怪我をして後遺症が残った,
というような場合には,別途傷害についての損害賠償,
及び慰謝料の請求を行うことができます。

慰謝料の額は,事案に即して決定されますが,
一般的には,行為の有責性が高ければ高いほど,
精神的苦痛や肉体的苦痛が激しければ激しいほど,
婚姻期間が長く年齢が高ければ高いほど,
未成年の子がいるならばいないよりも,
それぞれ高くなるという傾向があります。
これら事情は,離婚による精神的苦痛等に関するものですが,
この他にも,夫婦双方の資力や財産分与の有無等も,
慰謝料の額に影響を与えています。

以上,簡単に慰謝料についてお話ししましたが,
具体的事案の下で自分が慰謝料を請求できるかどうか,
あるいは慰謝料支払義務が生じるかということは,
よくわからないことが多いのではないでしょうか。
そういう場合は,ぜひ弁護士に相談してください。
当事務所では,依頼者様の事情をじっくりお聞きして,
事案に即した適切な対処方法等をアドバイスしております。
相談料は初回60分まで無料,土日夜間も対応。
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.13更新

このところ毎日離婚の話ばかりしていますので,
今日は気分を変えて,法廷傍聴の話をしましょう。

日本では,刑事訴訟の公判と民事訴訟の口頭弁論は公開され,
国民は誰でも自由に傍聴することができます。
裁判所は平日の昼間しかやっていませんが,
学生さんは夏休みの間は傍聴する余裕があるはずですし,
社会人の方でも平日に休みが取れた場合は,
ぜひ一度,裁判傍聴に行ってみてください。

裁判傍聴は,特に目的なくぶらっと行ってみるだけでも,
色々な発見があって面白いものですが,
より有意義な傍聴にするためには,
次のような点に気をつけてみてください。

まず,裁判所では多くの事件の審理が行われていますが,
傍聴できる裁判の数には自ずから限度がありますから,
興味がある裁判に絞って傍聴するようにしましょう。
裁判は,大きく分けて民事裁判と刑事裁判がありますが,
民事裁判の手続は基本的には書面中心に進んでいくこと,
主要な話し合いは非公開の弁論準備手続で行われること,
1回の期日だけ見ても意味が分かりにくいことなどから,
刑事裁判を傍聴することをお勧めします。
また,刑事裁判の中でも,「証拠調べ」等の公判ではなく,
「新件」と書いてある公判を選んで傍聴しましょう。
「新件」の公判では,刑事裁判の冒頭手続,
場合によっては被告人質問までの手続の全体が傍聴でき,
刑事裁判の全体像を知ることができるからです。
なお,裁判員裁判はほぼ一日中審理が続くものなので,
その裁判だけ傍聴したい場合以外はお勧めしません。
どこでどんな裁判が行われているかは,
その日裁判所に行って法廷の前に行き,開廷表を見なければ
正確には分かりません。
東京地裁だと法廷の数も多いので,探すのが大変ですが,
それも法廷傍聴の楽しみだと割り切って探してみてください。

次に,裁判が始まる時間です。
民事でも刑事でも,裁判が始まる時間はおおむね10時か,
午後に入って1時,3時のどれかが多いです。
午前なら9時30分,午後なら12時30分ころ,
裁判所に入って法廷を探して入っておきましょう。
途中から法廷に入ることができないわけではないですが,
手続の全体を見られないのではあまり意味がないですし,
場合によっては傍聴席が満員で入れなくなってしまうので,
早めに行動するに越したことはありません。
なお,東京地方裁判所なら地下に食堂もあります。

最後に,傍聴に行く前の準備ですが,
裁判手続に関する簡単な解説書を図書館で借りるなどして,
事前に裁判でどんな手続が行われるのか調べておきましょう。
可能であればその本を見ながら,手続がどう進むのか,
確認しておくとさらに分かりやすくなります。

北千住・南千住周辺から裁判傍聴に行くのなら,
東京地方裁判所ということになるでしょう。
東京メトロ日比谷線に乗って霞ヶ関駅で降り,
案内表示を見ながら進めばそれほど迷わないと思いますが,
家庭裁判所に行ってもあまり意味がないので,
(離婚の裁判などはありますが,民事裁判と変わりません)
ちゃんと地方裁判所に行ってくださいね。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.12更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,③財産分与その他の財産関係の清算,
についてお話しします。

財産分与は,夫婦が結婚後に築き上げた共同財産を,
離婚を機に夫婦に公平に分割することをいいます。

分割の対象は,結婚後の共同財産ですから,
夫婦の一方が結婚前から有していた財産は含まれません。
また,結婚後に取得した財産でも,
夫婦の協力と無関係の財産は含まれません。
例えば,妻が実の父の死去の際,遺産分割協議により,
賃貸に回している北千住のマンションを相続した場合,
この北千住のマンションは分割対象財産にはなりません。
夫婦の一方に帰属する分与対象外の財産(特有財産)を,
夫婦の他方が誤って持ち出してしまったような場合は,
財産分与とは別に本来の帰属者に返還する必要があります。

分割の割合は,原則として夫婦対等に1対1となります。
主として家計を支えていた者には不満かもしれませんが,
夫婦共同生活が営まれていた時期の家計収入は,
共同体としての夫婦の財産であり,
夫婦共同体は夫婦の対等な関与で成立していたのですから,
夫婦の一方の特殊な技能によって高額の収入を得ていた,
等の例外的な場合以外は,基本1対1が公平といえます。

そして,財産分与は,こうした夫婦共同財産の分配以外にも,
慰謝料的要素や離婚後の夫婦の一方の扶養という要素も含め,
分割の割合が決せられることになります。
ですから,不貞行為等の慰謝料発生原因がある場合や,
離婚後に夫婦の一方がおよそ生計を維持できない場合には,
分与すべき財産の額が増額されることになります。

なお,結婚してから日が浅く,夫婦共同財産が少ない場合や,
分与すべき財産があっても,それが預金等の場合は,
原則1対1で分割することでよいのですが,
住宅,特にオーバーローンの住宅の処理が絡むと,
今後のローンの支払をどうするかや保証人の問題,
さらには頭金の負担者が夫婦の一方の両親の場合の処理など,
複雑に問題が入り組んで解決が困難になってきます。
こうした場合,離婚できない不都合を避けるため,
双方が冷静になって協力できる面では協力しあい,
不動産を売却して売却益を分割するなど,
できるだけ柔軟に話し合いを進めるようにしましょう。

当事者間で直接話し合うと,別居に至る経緯などもあって,
どうしても上手く話がまとまらないという場合などには,
弁護士に交渉を依頼しましょう。
当事務所では,法テラスの民事法律扶助の利用も含め,
依頼者の方に最も負担の少ない解決方法を提案しております。
法律相談には土日・夜間も対応,初回60分無料ですので,
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.11更新

前回,別居後に決めなければならないことの第一として,
①婚姻費用の支払の要否・額の話をしました。
今回は引き続き,②離婚するか否か,及び離婚の時期,
ということについてお話ししたいと思います。

離婚するかどうかは,離婚によって得られるメリットと,
離婚した場合に失われるデメリットとを比較し,
どちらが大きいかで決めることになります。
メリット・デメリットは人によってそれぞれですから,
御自分の状況をしっかり把握しておきましょう。

一般論としては,離婚のデメリットは意外と小さいので,
別居した場合でも,別居されてしまった場合でも,
早期の離婚を目指すのが賢明です。

すなわち,離婚した場合のデメリットの代表的なものは,
婚姻費用等の経済面の不利益,不安だろうと思いますが,
婚姻費用による収入は不安定である一方,
母子家庭に対する公的援助はとても充実しており,
しかも公的なサービスであるだけに安定性は抜群です。
ただ,これも人によって事情は違いますから,
婚姻費用支払の確実性・安定性がどの程度あるのかや,
自分が居住している自治体の公的援助にどんなものがあるかを
自治体の窓口に問い合わせて確認するなどして,
御自分の状況の把握に努めてください。
例えば,北千住にお住まいの方であれば,
足立区のHPで,ひとり親支援制度のページ
http://www.city.adachi.tokyo.jp/k-kyoiku/kosodate/hitorioya/index.html
等を確認することで,足立区での支援の概要を把握できます。

この他,例えば名字が変わってしまうとか,
子どもと違う名字になるといった問題は,
婚氏続称等の手続で解消できますので,
その意味でも離婚によるデメリットは小さいです。

なお,子どものために離婚しない,という方もおられますが,
別居にまで至っている夫婦が,形式的に籍だけ残しても,
子どもによい影響はないのではないかと思います。
これは家庭内別居の場合も同様です。

離婚の条件等でどうしても折り合えない場合は別ですが,
そうでないならば,早期の離婚を目指して行動しましょう。

離婚した方がいいのかどうかについて自信が持てないとか,
離婚のメリット・デメリットを的確に把握したいという場合,
当事務所の無料法律相談をご利用ください。
各自治体の母子家庭支援制度の調査等を含め,
離婚のメリット・デメリットをしっかり分析し,
アドバイスさせていただきます。
土日・夜間の相談にも対応しておりますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.10更新

前回,別居する前に考えておくべきことをお話ししました。
計画どおり別居ができたら,離婚に向けて交渉開始です。

別居後の交渉で解決しなければならない問題としては,
まず,離婚までの別居期間におけるものとして,
①婚姻費用の支払の要否・額の問題があります。

次に,離婚の条件等として,
②離婚するか否か,及び離婚するとしていつ離婚するか,
③財産分与その他の財産関係の清算,
④慰謝料の支払の要否・額
⑤離婚時年金分割の要否・割合
という問題があります。

さらに,夫婦間に子がいる場合には,
⑥親権・監護権をどちらが担うか,
⑦養育費の支払の要否・額
⑧面会交流の方法・頻度等
という問題があります。

今回は,そのうち①の婚姻費用の支払の要否・額について,
簡単にお話ししておきたいと思います。

婚姻費用とは,夫婦共同生活に必要な費用のことをいいます。
婚姻費用の分担は,夫婦がその収入に応じて公平に行います。
もっとも,夫婦のどちらがどの程度婚姻費用を支払うべきか,
何の基準もなしに話し合っても解決は困難でしょうから,
家庭裁判所で用いられている婚姻費用算定表を使って,
双方の収入を前提とした婚姻費用の額を確認し,
これを前提に話し合えば交渉が円滑に進みやすくなります。
なお,婚姻費用の額は,夫婦双方の収入を基準に決めるため,
例えば別居後の住まいが北千住駅前の高級賃貸マンションで
家賃がかなり高い,というような場合でも,
家賃に応じて婚姻費用が増額されることはありません。
その点は注意してください。

婚姻費用算定表に従って算出された婚姻費用は,
最終的には審判で支払を命じられてしまいますし,
それでも支払わなければ給与の差押え等を受けてしまいます。
さらに,財産分与でも未払婚姻費用が加算されるなど,
離婚に向けた交渉等で不利益が生じてしまいますので,
婚姻費用の支払義務を負う側の方は,
誠実に支払に応じるようにしましょう。

自分に婚姻費用の支払義務があるか知りたい,
支払義務があるとしてどの程度支払う必要があるのか,
ローンの支払などは考慮してもらえるのか,
などなど,婚姻費用に関して分からないことがあれば,
当事務所の無料法律相談をご利用ください。
土日・夜間を含めていつでも相談に対応していますので,
お気軽に電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.09更新

このブログで,配偶者から暴力を振るわれている場合,
一刻も早く機会をつかんで身体の自由を確保する必要がある,
という話をしたことがあるかと思います。
このような場合,別居の準備とかそういうことはさておき,
とにかく逃げ出すことを最優先すべきですが,
そうした切迫性のない事案で別居の道を選ぶ場合には,
別居の前に決めておくべきことがあります。

5W1Hに沿って整理していくと,
第1に,なぜ(Why)として,何のために別居するのか,
目的をはっきりさせておく必要があります。
多くの場合,離婚が目的になると思いますが,
既にお話ししたとおり,長期間別居したからといって,
必ず離婚できるというものではありません。
離婚が目的なのであれば,別居すれば離婚できるのか,
離婚できるとして,離婚までの期間の見込みはどうか,
などについて,考えておく必要があります。

第2に,誰が(Who)として,誰を連れて行くか,
ということを決めておく必要があります。
子どもがいないとか,いても成人しているなら別ですが,
小さい子どもがいるのならば,自分が連れて行くのか,
それとも誰かに預けるのか,予め決めておかなければ,
別居に踏み切ることは困難でしょう。

第3に,どこで(Where)として,
別居後の生活をどこで営むのか,決める必要があります。
別居先に子供を連れていくなら,乳児段階なら別として,
そうでなければ通学の便も含めて考慮すべきでしょう。
北千住など交通のよい場所ならばよいですが,
交通の便の悪い場所では子どもの負担が重くなるとともに,
日常生活の不便も大きくなります。
併せて,別居後の生活場所を配偶者に知られたくないならば,
住民票のロックや戸籍附票の不開示,
さらに必要があれば接近禁止命令の申立てなどの手段を,
予め検討しておいた方がよいでしょう。

第4に,どのように(How)として,
別居後の生活をどのように営んでいくか,
ということを決めておく必要があります。
別居後に職を探して収入を得る必要があるなら,
どんな形で就職活動をするのか,そしてその見込みはどうか,
予め調べておく必要があります。
また,配偶者からの婚姻費用の支払を受けられるのか,
受けられるとしてどのくらいの額か,
支払開始までの期間がどの程度と見込まれるか,
そうした点も検討しておくとよいでしょう。
逆に,十分な収入があって配偶者に収入がない場合は,
婚姻費用を支払う必要が生じないか,検討しましょう。

第5に,いつ(When)として,
別居に踏み切る時期を決めておく必要があります。
別居後の生活場所の選定や職探しの状況とともに,
子どもの進級や進学なども考慮して計画を立て,
別居の準備を進めていくべきでしょう。

第6に,何を(What)として,何を持っていくか,
別居の際の持参品を決めておきましょう。
ご自身の実印及び印鑑登録カード,免許証等の身分証明書,
携帯電話,PC,キャッシュカード,クレジットカード,
さらに保険証などは必ず持っていくようにしましょう。
なお,別居後の相手方の生活を不当に妨げないように,
相手方名義のものはできる限り持ち出さないでください。
物の返還をめぐって不要なトラブルを招きますし,
離婚の交渉自体にも悪影響となりかねないからです。

このように,別居するにあたっては,
決めておくべきことがたくさんあります。
各項目について漏れなく決めておくことができたか,
不安な場合は,当事務所の無料法律相談をご利用ください。
目立たず相談したいというご要望に応じて,
土日・夜間を含む24時間,事務所外の相談にも応じます。
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.08更新

前回,夫の下から逃れて行動の自由を確保した妻が,
夫の暴力から逃れ続けるための手段として,
DV防止法の接近禁止命令があるという話をしました。
では,逆に夫の側は,妻から接近禁止命令の申立てがあり,
呼出状が送付されたという場合,どうすればよいでしょうか。
前回と少し設例を変え,結婚して北千住で生活していた夫婦が
夫婦喧嘩の末,妻が船橋の実家に戻ってしまった,
という設例を前提にお話しします。

呼出状の送付を受けた夫にありがちな行動として,
たかが夫婦喧嘩で大げさすぎる,妻と話し合いたい,
という考えから,妻本人やその周辺の人物と連絡をとり,
妻との話し合いを求める,ということがあります。
人情としては分からなくもない考え方なのですが,
呼出状の送付を受けた後に妻本人やその周辺の人物,
設例の船橋の妻の実家の両親とコンタクトを取ることは,
できる限り避けなければなりません。

というのは,第一に,接近禁止命令の申立ては,
「もう絶対に会いたくない」という強い拒絶の意思の表れで,
そのような強い拒絶の意思を持つ人と話し合ったところで,
話し合いが上手く行く可能性はほとんどないからです。
接近禁止命令の申立てがあった時点で,
当事者が直接話し合って解決できる段階は既に過ぎており,
調停・裁判等の手段以外での解決は困難と考えるべきです。

第二に,話し合いを求めてコンタクトを繰り返す行為は,
妻等に対するつきまとい行為と評価されてしまい,
接近禁止命令の理由づけとされる危険性があるからです。
話し合いを求める際に暴言などを吐いてしまえば,
よりいっそうその危険性は高まります。
妻の側では,接近禁止命令の申立てをした時点で,
録音等の準備をしてこちらの接触を待ち構えている,
というくらいに考えておく方が賢明です。

第三に,妻等に対するつきまとい行為があったと評価され,
接近禁止命令が出されてしまうと,
その後の離婚調停や裁判でも,DVがあったことが前提に,
それが離婚の原因となったと認定される可能性が高く,
後々の離婚調停・裁判にも悪影響を及ぼすからです。

こうした理由から,呼出状の送付を受けた夫側としては,
妻側と接触して話し合いをしようという考えは捨てて,
妻側から絶縁宣言があったという覚悟の下,
離婚調停・裁判までを見据えた対処をする必要があります。

そして,接近禁止命令の申立てまでに状況が進んだ以上は,
自力で対処していくことはかなり困難になりますから,
最低限,節目ごとに同じ弁護士に相談してアドバイスを受け,
できれば弁護士に依頼してください。

というのも,あくまで個人的な印象ですが,私が見る限り,
DV防止法に基づく保護命令,特に接近禁止命令は,
夫側にさほど大きな負担を課すものではないことから,
裁判所もかなり安易に命令を出す傾向があります。
こうした傾向を踏まえて,的確な防御活動を行い,
可能であれば接近禁止命令を出させないようにし,
仮に接近禁止命令が出たとしても,
離婚調停・裁判への影響を可能な限り少なくすることは,
自力ではかなり難しいことだからです。

いずれにせよ,呼出状の送付を受けたら,
まずは気持ちを落ち着けて,法律相談に行きましょう。
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投稿者: 豊和法律事務所

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