事務所ブログ

2014.08.12更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,③財産分与その他の財産関係の清算,
についてお話しします。

財産分与は,夫婦が結婚後に築き上げた共同財産を,
離婚を機に夫婦に公平に分割することをいいます。

分割の対象は,結婚後の共同財産ですから,
夫婦の一方が結婚前から有していた財産は含まれません。
また,結婚後に取得した財産でも,
夫婦の協力と無関係の財産は含まれません。
例えば,妻が実の父の死去の際,遺産分割協議により,
賃貸に回している北千住のマンションを相続した場合,
この北千住のマンションは分割対象財産にはなりません。
夫婦の一方に帰属する分与対象外の財産(特有財産)を,
夫婦の他方が誤って持ち出してしまったような場合は,
財産分与とは別に本来の帰属者に返還する必要があります。

分割の割合は,原則として夫婦対等に1対1となります。
主として家計を支えていた者には不満かもしれませんが,
夫婦共同生活が営まれていた時期の家計収入は,
共同体としての夫婦の財産であり,
夫婦共同体は夫婦の対等な関与で成立していたのですから,
夫婦の一方の特殊な技能によって高額の収入を得ていた,
等の例外的な場合以外は,基本1対1が公平といえます。

そして,財産分与は,こうした夫婦共同財産の分配以外にも,
慰謝料的要素や離婚後の夫婦の一方の扶養という要素も含め,
分割の割合が決せられることになります。
ですから,不貞行為等の慰謝料発生原因がある場合や,
離婚後に夫婦の一方がおよそ生計を維持できない場合には,
分与すべき財産の額が増額されることになります。

なお,結婚してから日が浅く,夫婦共同財産が少ない場合や,
分与すべき財産があっても,それが預金等の場合は,
原則1対1で分割することでよいのですが,
住宅,特にオーバーローンの住宅の処理が絡むと,
今後のローンの支払をどうするかや保証人の問題,
さらには頭金の負担者が夫婦の一方の両親の場合の処理など,
複雑に問題が入り組んで解決が困難になってきます。
こうした場合,離婚できない不都合を避けるため,
双方が冷静になって協力できる面では協力しあい,
不動産を売却して売却益を分割するなど,
できるだけ柔軟に話し合いを進めるようにしましょう。

当事者間で直接話し合うと,別居に至る経緯などもあって,
どうしても上手く話がまとまらないという場合などには,
弁護士に交渉を依頼しましょう。
当事務所では,法テラスの民事法律扶助の利用も含め,
依頼者の方に最も負担の少ない解決方法を提案しております。
法律相談には土日・夜間も対応,初回60分無料ですので,
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所