事務所ブログ

2014.08.22更新

前回まで,離婚について集中してお話ししてきましたが,
離婚についての話をいったん締めくくるにあたり,
調停での合意や離婚の裁判が成立した後の執行について,
簡単にお話ししておきたいと思います。

調停手続で合意が成立し,調停調書が作成された場合も,
あるいは離婚裁判や各種審判で判決・審判が下された場合も,
調停調書や判決書・審判書に記載された義務の存在が,
裁判所が関与する形で認められただけのことであり,
その義務を履行するかどうかは義務者に委ねられます。

多くの場合,判決等で義務が明らかになった場合には,
そのとおりに義務を履行する義務者が多いのですが,
もし義務者が自分から義務を履行しようとしない場合には,
義務の履行を促したり,強制的に義務を履行させたり,
といった手段を採る必要が生じることになります。

まず,家庭裁判所の手続で決まった義務については,
家庭裁判所に申立てを行うことで,
義務者に対して履行勧告をしてもらうことができます。
ただ,これには強制力がありませんので,
義務者が勧告を無視すれば意味がありません。

次に,裁判上認められた義務については,
強制執行が認められることがあります。
強制執行ができるかどうかやその方法は,
義務の性質等によって異なるのですが,
例えば養育費や婚姻費用の支払義務については,
義務者の財産を差し押さえて強制的に義務の履行を受ける,
という直接強制の方法による強制執行が可能です。
差し押さえる財産にはいろいろありますが,
義務者がお勤めの方であれば,給与の差押えというのが,
最も確実な方法ということになるでしょう。
この他,義務者が北千住の高級マンションに住んでいて,
義務を履行するに足りる財産を十分有しているのに,
義務の履行をしないというような場合については,
債務の額にもよりますが,このマンションを差し押さえ,
換金して債務を履行してもらうということもあります。
なお,義務者の財産を差し押さえるということなので,
義務者に差押えできるような財産が何もない場合は,
強制執行しても無意味ということになります。

他方,面会交流の義務については,
義務の性質上,直接強制の手段は採り得ず,
義務を履行しない場合は一定額の間接強制金の支払を命じ,
間接強制金の支払をしたくないのならば義務を履行せよ,
という形の強制執行(間接強制)をすることになります。
ただ,間接強制金を支払うだけの財産がない義務者には,
間接強制はほとんど意味がありません。

この他にも,ハードなものとしては子の引渡しの直接強制など
強制執行にも様々な類型のものがあります。

家庭裁判所の手続で義務が定まったのに履行してもらえない,
という場合には,これら手段を検討しましょう。
当事務所では,履行勧告や強制執行についても,
幅広く事件の依頼や相談をお受けしております。
まずは土日・夜間も対応で初回60分無料の法律相談で,
お悩みをお聞かせください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.21更新

前々回,別居後・離婚後の子とのかかわりについてお話しし,
その中で,養育費についても触れましたので,
ここで養育費の算定がいかにして行われているかについて,
少し掘り下げてお話ししたいと思います。

多くの方が御存知のとおり,養育費や婚姻費用の算定は,
夫婦双方の収入を前提に算定表に当てはめて行うことが,
実務の通例として定着しています。

ただ,養育費等の支払義務者の年収が2000万円以上とか,
子どもが4人以上いる場合,
さらには両親が複数の子をそれぞれ監護している場合などは,
そもそも算定表がそのまま使えないので,
算定表作成の基礎となった考え方に立ち戻るなどして,
養育費等の額を決めていく必要があります。

また,算定表が使える場合でも,
算定表の額をそのまま使うと妥当でない場合については,
やはり算定表作成の基礎となった考え方に立ち戻り,
養育費等の計算方法を修正することがあります。
例えば,夫Aと妻Bとの間に未成年の子Cがおり,
この3人が北千住の賃貸マンションで生活していたが,
ABの不和の末,Aは家に帰らないようになった,
という事案で,Aが賃貸マンションの家賃を支払っていれば,
支払っている家賃の額が養育費等から控除されます。
Aがマンション等の住宅ローンを支払っている場合も,
家賃のように全額ではないものの,一定割合が控除されます。
この他にも,夫婦共同名義で購入した自動車のローンなど,
養育費等から控除可能なものがありますので,
そうした点も,必要に応じて主張する必要があります。

さらに,養育費の額は,調停成立時点ないし審判時点における
夫婦双方の収入を前提として算定された額ですから,
夫婦のいずれか一方の収入が変動した場合や,
養育費等の支払義務を負う者が再婚して扶養すべき子ができた
といった場合には,養育費等の額を変更できます。

なお,勝手に子供を連れて出て行かれてしまった,など,
別居に至る原因は,養育費等の算定では考慮されません。
また,例えば別居する際に妻が夫名義の預金通帳を持ち去り,
預金を引き出して生活費として使用している,という場合も,
財産分与の際に考慮することができるのみで,
それゆえに養育費等の支払義務を免れることはできません。
さらに,面会交流を養育費等の支払の条件とはできず,
両者は切り離して実施する必要があります。

このように,養育費等は,必ずしも算定表だけで決まらず,
妥当な結論とするための修正を行うことができます。
養育費の額等に関して,疑問や不安がある方は,
ぜひ当事務所の無料法律相談をご利用ください。
土日夜間を含む24時間相談に対応しておりますので,
相談者様のご都合のよい日時をご指定いただければ,
いつでも相談に応じます。
ぜひお気軽に電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.20更新

前回,別居・離婚後の子育ては誰がするのか,に関し,
面会交流についても若干お話ししましたので,
その流れで,面会交流に協力する監護親の注意点について,
やや具体的にお話ししたいと思います。

前回もお話ししたとおり,離婚・別居後も親子関係は残り,
非監護親もまた親として,子の養育に関与すべきことから,
その一環として,何よりも子の健全な育成のために,
非監護親との定期的かつ円滑な面会交流は欠かせません。
また,子が成長して難しい時期を迎えた場合,
監護親一人だけで対応することはなかなか困難ですが,
非監護親に協力してもらえばより効果的に対応できます。
特に,同性の親との面会交流は,異性の親には話せない話も,
比較的話しやすいという面があります。
さらに,面会交流が定期的に実施されることで,
非監護親の子に対する愛着が強いまま保たれ,
養育費の支払が安定しやすくなるという効果もあります。
それらの意味から,ぜひ積極的に面会交流に協力しましょう。

協力の方法としては,まず,面会交流に先立って,
子が面会交流を負担に思うことのないよう,
面会交流は楽しいものだということを教えてあげて下さい。
間違っても,父親の悪口を吹き込んで,
子どもに接見交流を拒ませるようなことは避けて下さい。
そのような手段を採ったところで,
面会交流審判が申し立てられて調査官調査が行われれば,
専門の調査官が面会交流拒否の理由を調査するため,
何が起きたかはだいたい把握されてしまいますし,
そのような手段を採ることで,監護適格の低い親とみなされ,
他の事情とあいまって親権が奪われる可能性すらあります。

また,非監護親に対しては,自分の監護方針を適宜伝達し,
監護方針に沿った面会交流を行うよう協力を求めてください。
面会交流がどのように行われるかを含めて,
子の監護をどのように行うかを決めるのは親権者の役目です。
ただし,直接話をしてはいけないとか,
一切手を触れてはいけないなどといった過度の要求は,
面会交流を無意味にしますので避けましょう。

そして,面会交流が終わった後は,普段どおり子に接し,
子に負担をかけないよう心がけましょう。
面会交流の後はいつも監護親が不機嫌になる,というのでは,
子は面会交流を楽しめず,段々苦痛になってきてしまいます。
そんなことのないように心がけてください。

さらに,面会交流の時間や方法等は,
これまでの面会交流の実施状況なども踏まえ,
何よりお子さんの都合(例えば学校や習い事など)に合わせ,
スケジュールを組むようにしてください。
非監護親は,普段子と接していないだけに,
子の日常のスケジュールには疎い傾向がありますので,
試験が近い時期は面会交流を中止する,などといった
細かい配慮は,監護親の方から働きかけてください。
また,できれば非監護親の都合にも配慮して,
たとえば父親が広島在住で子が北千住在住であれば,
長休みにまとめて数日交流を行うようにするなど,
交流の実が上がるようなスケジュールを心がけてください。

以上,監護親側で心がけてほしいことを申し上げました。
この他,面会交流の実施にあたって不安や助力が必要ならば,
当事務所に御相談ください。
土日夜間を含む24時間相談に対応しておりますので,
相談者様のご都合のよい日時をご指定いただければ,
いつでも相談に応じます。
相談料も初回60分無料ですので,
ぜひお気軽に電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.19更新

これまで,別居後に決めなければいけないことについて,
数回にわたってお話ししてきましたが,
今日は⑦養育費の支払の要否・額と⑧面会交流の方法・頻度等
の2つを中心に,別居後・離婚後の子育てについて,
お話をしていきたいと思います。

離婚に至る原因はいろいろありますが,
夫婦として共同生活を営むことができない状態だからこそ,
離婚という道を選ぶわけですから,
そのような状態にまで至った夫婦が,
協力して子育てをしていくことは容易ではないでしょう。
中には,離婚して関係が切れたのだから一切子にかかわるな,
と関係を断絶してしまう方も少なくありません。

しかし,離婚して夫婦の関係が切れたとしても,
親と子の血縁関係は切れるものではありません。
子にとっては両親のどちらも大好きで大切な親なのです,
親権がどちらの親に帰属するにせよ,
親権を得られなかった親(非監護親)も子の親なのですから,
子の健全な育成のために協力する義務がありますし,
非監護親が義務を果たす場合,親権を得た親(監護親)は,
これを妨げないようにする責務があります。

別居後・離婚後に非監護親が子に関与する方法としては,
養育費の支払と面会交流の2つがメインとなります。
養育費は子の日々の生活や学業等に必要な費用です。
離婚して親権が得られなくても,
親が子を養育する義務は消えることはありませんから,
非監護親としては,日々の監護には関与しない代わりに,
養育費を支払うという形で子の養育にかかわるのです。
養育費の額は,婚姻費用同様,夫婦双方の収入に応じて,
算定表を参考にして決められることになりますから,
どの程度の額になるかは算定表を見るとよいでしょう。

また,面会交流は,子の健全な育成にとって,
父性的存在・母性的存在の双方の必要性が高いことから,
非監護親と子との定期的な交流を図るものです。
つまり,面会交流は,子のために行われるものであり,
親のためのものではありません。
なお,面会交流の頻度・方法は,子の年齢や親子の居住地等,
状況によって変わってきます。
例えば,父親が北千住に居住している一方,
子は母親とともに広島に居住しているというような場合は,
親子双方の負担を考慮して,面会交流の回数を少なくしつつ,
その代わり交流時間を長めにすることになるでしょう。
わが国では,おおむね月1回半日程度の面会という形で,
面会交流の程度・方法が定められることが多いです。

非監護親としては,監護親が親権を有している以上,
監護親による監護に積極的に協力すべきであり,
その一環として,養育費の支払等にも誠実に応じるべきです。
なお,面会交流の際に暴言を吐いて子を傷つけたり,
監護親の悪口を言って監護を困難にするような行為は,
絶対に避けなければなりません。

他方,監護親としては,子の健全な育成の観点から,
非監護親による関与を含めた監護のあり方をコントロールし,
必要に応じて非監護親に必要な協力を求めるべきです。
なお,非監護親との関係がいかに悪くても,
そのことだけを理由に面会交流を拒んだり,
面会交流に先立って非監護親の悪口を吹き込んだりするのは,
絶対に控えなければなりません。

以上要するに,別居や離婚した後においても,
子との関係では,子の両親同士としての協力が不可欠であり,
そうすることが子の健全な育成に最も資するのです。
監護親が正当な理由もなく面会交流を拒み,
非監護親が対抗して養育費の支払を拒む,
といった不毛な対立が続くことがまま見られますが,
そんなことをして一番傷つくのは子ですし,
両親ともに親の義務を果たしていないことになりかねません。
離婚にかかわる弁護士としては,そんなことにならないよう,
両親が理性的に対応してくれることを希望しています。

養育費や面会交流に関しては,両親が直接協議しても,
離婚をめぐる紛争を引きずってしまうこともあって,
上手くまとまらないという場合が少なくありません。
そのような場合は,上手く弁護士を利用して下さい。
当事務所に御相談いただければ,
依頼者様の負担がなるべく軽くなる形で,
離婚に伴う紛争を解決する方法を提案させていただきます。
相談料は初回60分まで無料,土日・夜間も対応。
まずは電話かメールでご連絡下さい。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.18更新

前回,親権・監護権をどちらが担うか,
についてお話ししました。
そこで,今回はこれに関連して,
男性側で親権を取れるのか,という点について,
少し掘り下げてお話ししてみます。

親権をどちらが担うかで夫婦が争った場合,
考慮要素の1つに母性優先が挙げられていますし,
また,是非はともかく,育児についての関与度合いでは
父親が母親を上回るケースは滅多にありません。
そうすると,前回挙げた考慮要素に沿って判断する限り,
女性側が圧倒的に有利になります。
特に,子の年齢が低ければ低いほど,
子の健全な育成のための母性的存在の必要性が高まるため,
よりいっそう女性側が有利になってきます。

その反面,親権争いでは基本的に不利な男性側でも,
いくつかの条件が揃えば,不利を覆すことが可能になります。

男性側有利となるのは,以下のような場面です。
まず,監護実績及び看護能力と関連して,
母親側の監護能力の低さが客観的に証明されており,
その反面,父親側の監護能力に問題がない場合は,
男性側有利になってきます。
例えば,母親が強度の虐待を行ったことが明らかである反面,
父親側は実家の両親の助力を得て十分な監護ができる場合は,
男性側有利といえるでしょう。

次に,子自身の意思と関連して,
小学校高学年以上の子が父親との同居を望む場合,
男性側有利となります。

さらに,奪取の違法性等に関連して,
例えば,母親が子を置いて家出したため,
やむなく父親が子の世話をしていたところ,
母親が不法に子を連れ去って一切父親との面会をさせない,
というような場合には,男性側が有利になるでしょう。

こうした男性側有利な事情が数多く揃えば揃うほど,
その分だけ男性側有利の程度が大きくなり,
最終的には圧倒的な女性側有利をはねのけることができます。

もっとも,圧倒的な不利からのスタートですから,
多少有利な事情があってもそう簡単には不利は覆りません。
本気で不利を覆し,親権を得たいと考えるのであれば,
相手方に不利な事情の証拠を固めておいたり,
常日頃から育児に熱心にかかわって監護能力を高め,
監護を補助する実家の両親等との接点も多く設けておくなど,
事前の周到な準備が欠かせません。
そして,的確な準備を行うためには,
こうした案件に強い弁護士の助力が不可欠です。

なお,男性側が親権を得るということは,
子から実の母親を奪うことでもあります。
夫から見て結婚生活を続けられない落ち度のある妻でも,
子から見れば二人とはいない大切な母親です。
本当にそうすることが子のためになるのか,
妻としての落ち度と母としての落ち度を混同していないか,
面会交流で顔を見られることでは足りないのか,
親権争いをする前に考えてほしいと思います。

しっかり考えて,子のために親権を得なければならない,
と決断されたならば,当事務所に御相談下さい。
以前男性側で親権を獲得した経験も複数回ありますので,
十分お役に立てるのではないかと思います。
初回60分無料で土日夜間も対応していますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.16更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,⑥親権・監護権をどちらが担うか,
についてお話しします。

わが国では,婚姻中の夫婦の間の子は,
夫婦が共同して親権を行使することになっていますが,
その夫婦が離婚した場合,共同の親権行使はできず,
夫婦のいずれか一方のみが親権を持つことになります。
そこで,どちらが親権を委ねられるべきか,ということが,
離婚に際して大きな問題となってきます。

また,監護権とは,子どもの現実の監護をする権利,
もっと簡単に言えば日々の面倒を見る権利のことであり,
本来は親権に含まれるものなのですが,
離婚前の別居状態でどちらが監護をすべきか,
という場面では,親権とは切り離されて問題になります。
例えば,夫婦が元々住んでいた船橋の自宅で夫が生活し,
妻が北千住の実家で生活しているという場合,
そのどちらが子どもの監護をするか,ということです。
もっとも,別居時に監護権をどちらに委ねるかという問題は,
離婚後に親権をどちらに委ねるかという問題と同じですから,
基本的には親権と同じものと考えてよいです。

親権を夫婦のどちらに委ねるかは,
何より子の福祉,すなわち子どもにとって最善の選択,
という観点から決定されます。
具体的には,おおむね次の8点を考慮して決定されます。
①これまでの監護実績及び現在の監護状況
②子自身の意思の如何
③母性優先
④面接交渉等,裁判所の指示に従うか
⑤兄弟不分離
⑥奪取の違法性の有無
⑦夫婦双方の監護能力の高低
⑧夫婦双方の経済的能力の高低

まず,①これまでの監護実績及び現在の監護状況は,
これまで及び現在の監護の状況を考慮して,
監護実績がある者にそのまま子の親権を委ねよう,
という方向で考慮されます。
すなわち,育児にほとんどかかわっていなかった者が,
急に子の親権がほしいと言い出しても不利になります。

②子自身の意思の如何は,おおむね10歳以上の子であれば,
子自身の意思が相当大きな要素として考慮されます。
これに対し,それ以下の年齢,特に就学前の幼児については,
子自身の意思はそれほど考慮されません。

③は,母性的存在が子の生育に重要な影響を与えることから,
年齢が低い子ほど母親が優先されるというものです。
ただし,母親でなければ母性的存在になれないわけではなく,
絶対的に母親が優先するというものではありません。

④面接交渉等,裁判所の指示に従うか,は,
離婚に際する交渉の過程で,面会交流の円滑な実施等,
子の福祉のために必要な指示を裁判所が行った場合に,
これに従う親を優先的に親権者にするというものです。

⑤兄弟不分離は,子が複数いる場合,
その複数の子はなるべく分離せず一方の親に親権を委ねる,
ということです。

⑥奪取の違法性の有無は,子の監護の開始に際して,
子をその意思に反して奪い去るような行為があれば,
それを振りに考慮すると言うことです。

⑦夫婦双方の監護能力の高低は,①とも関連しますが,
親権が帰属すべき親自身の監護能力に加えて,
親に協力して子の監護に携わる看護補助者,
例えば祖父母などの監護能力の程度や関与度合い等も,
監護能力の考慮要素となります。

最後に,⑧夫婦双方の経済的能力の高低は,
子の監護の基盤となる経済力があるか否かを考慮しますが,
養育費の支払を受けることでクリアできる問題なので,
あまり重要な考慮要素にはなりません。

以上の事情を総合して,親権の帰属が決定されます。
ただ,両親が離婚するということだけでも,
子どもは少なからぬ影響を受け,傷ついています。
②の子の意思を確認するようなことになれば,
いっそうその傷は深くなってしまいます。
できればそんなことにならないよう,
話し合いで解決するよう努めてほしいところです。

親権に関しては,なるべく早めに相談していただければ,
その分だけ有利な要素を増やしていくことができます。
初回60分無料で土日夜間も対応していますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.15更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,⑤離婚時年金分割についてお話しします。

離婚時年金分割の制度は,特に熟年離婚の場合に,
例えばサラリーマンの夫は厚生年金を受給できる一方,
結婚期間中厚生年金保険料の支払に貢献した妻は,
離婚後何ら保険料の分配を受けられないため,
そうした不都合を避けるために,
夫が将来支給を受ける厚生年金・共済年金について,
妻もその分配を受けられるようにした制度です。

もっとも,これは夫婦の一方が将来受け取る厚生年金や
共済年金を分割するという制度ですから,
夫婦の双方が国民年金に加入している場合には,
年金分割の制度は利用できません。
また,分割されるのは,妻の貢献がある期間のみ,
すなわち婚姻期間中の支払額に相応する年金に限られますし,
厚生年金部分・共済年金部分に限られています。

さらに,分割割合が2分の1だからといって,
年金の半分をもらえるというものではありません。
婚姻期間にもよるので何ともいえませんが,
手取り年金額はそれほど増えないというのが現実のようです。
具体的にどの程度年金額が増えるか(あるいは減るか)は,
必要に応じて社会保険労務士さんに計算してもらいましょう。
なお,平成20年4月1日以後の年金分割は,
いわゆる3号分割として,合意なしで2分の1になりますが,
それ以前はいわゆる合意分割として,
夫婦双方の分割割合についての合意が必要となります。
夫婦間で合意できない場合は裁判所が割合を決めます。

離婚時年金分割は,財産分与と同様,
公平な財産関係の清算のための手段ですから,
分割請求できる人はぜひ利用してほしいですし,
分割請求を受ける方も,積極的に協力してあげてください。

年金分割の手続は,お住まいの地域を管轄する年金事務所に,
年金分割のための情報提供請求書を提出して情報提供を受け,
調停等をしている場合はこれを家庭裁判所に提出し,
調停・審判が終わったら再び年金事務所に行き,
調停調書・審判書を添えて標準報酬改定請求を行う,
という形で進んでいきます。
北千住にお住まいなら,綾瀬にある足立年金事務所,
南千住にお住まいなら,熊野前の荒川年金事務所が,
それぞれ管轄の年金事務所になりますので,
必要に応じて出向くか手続の代行を依頼してください。

なお,当事務所では,年金分割に関して不明な点の相談や,
手続の代行の依頼を積極的にお受けしております。
相談料は無料,土日・夜間も相談に対応しておりますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.14更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,④慰謝料の支払の要否・額,
についてお話しします。

離婚に至る原因にはいろいろありますが,
夫婦の一方の行為が原因で婚姻関係が破綻し,
離婚を余儀なくされた場合には,
その原因を作った者に対する慰謝料請求が認められます。

例えば,代表的な慰謝料請求の原因としては,
不貞行為が挙げられます。
不貞行為とは,夫婦の一方が,夫婦以外の者と,
性的な結合を持つことをいうとされています。
もっとも,慰謝料請求は,不貞が明らかな場合,
すなわち探偵業者の調査等で証明できる場合だけでなく,
特定の異性と親密な関係を継続していたことにより,
夫婦関係が破綻に至ったという場合にも認容されます。
例えば,夫婦の他方以外の異性と一緒に箱根に行くため,
北千住からロマンスカーで二人きりで旅行をしたものの,
その旅行の際には肉体関係に至るようなことはしていない,
というような場合でも,それが婚姻関係破綻の原因となれば,
慰謝料請求は肯定されます。
その意味では,慰謝料請求のハードルは意外と低く,
不貞行為の確たる証拠がなければ慰謝料支払の必要がない,
というわけではないので,その点は注意してください。

不貞行為以外でも,DVや性生活の不当な強要・拒否等でも
それによって婚姻関係が破綻したといえる場合には,
慰謝料請求が認められています。

ただし,婚姻関係破綻の原因が夫婦の双方にあり,
いずれか一方にのみ責任があるとはいえない場合には,
慰謝料請求は否定されてしまいます。

他方,離婚を余儀なくされたことによる慰謝料とは別に,
DVで大怪我をして後遺症が残った,
というような場合には,別途傷害についての損害賠償,
及び慰謝料の請求を行うことができます。

慰謝料の額は,事案に即して決定されますが,
一般的には,行為の有責性が高ければ高いほど,
精神的苦痛や肉体的苦痛が激しければ激しいほど,
婚姻期間が長く年齢が高ければ高いほど,
未成年の子がいるならばいないよりも,
それぞれ高くなるという傾向があります。
これら事情は,離婚による精神的苦痛等に関するものですが,
この他にも,夫婦双方の資力や財産分与の有無等も,
慰謝料の額に影響を与えています。

以上,簡単に慰謝料についてお話ししましたが,
具体的事案の下で自分が慰謝料を請求できるかどうか,
あるいは慰謝料支払義務が生じるかということは,
よくわからないことが多いのではないでしょうか。
そういう場合は,ぜひ弁護士に相談してください。
当事務所では,依頼者様の事情をじっくりお聞きして,
事案に即した適切な対処方法等をアドバイスしております。
相談料は初回60分まで無料,土日夜間も対応。
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.13更新

このところ毎日離婚の話ばかりしていますので,
今日は気分を変えて,法廷傍聴の話をしましょう。

日本では,刑事訴訟の公判と民事訴訟の口頭弁論は公開され,
国民は誰でも自由に傍聴することができます。
裁判所は平日の昼間しかやっていませんが,
学生さんは夏休みの間は傍聴する余裕があるはずですし,
社会人の方でも平日に休みが取れた場合は,
ぜひ一度,裁判傍聴に行ってみてください。

裁判傍聴は,特に目的なくぶらっと行ってみるだけでも,
色々な発見があって面白いものですが,
より有意義な傍聴にするためには,
次のような点に気をつけてみてください。

まず,裁判所では多くの事件の審理が行われていますが,
傍聴できる裁判の数には自ずから限度がありますから,
興味がある裁判に絞って傍聴するようにしましょう。
裁判は,大きく分けて民事裁判と刑事裁判がありますが,
民事裁判の手続は基本的には書面中心に進んでいくこと,
主要な話し合いは非公開の弁論準備手続で行われること,
1回の期日だけ見ても意味が分かりにくいことなどから,
刑事裁判を傍聴することをお勧めします。
また,刑事裁判の中でも,「証拠調べ」等の公判ではなく,
「新件」と書いてある公判を選んで傍聴しましょう。
「新件」の公判では,刑事裁判の冒頭手続,
場合によっては被告人質問までの手続の全体が傍聴でき,
刑事裁判の全体像を知ることができるからです。
なお,裁判員裁判はほぼ一日中審理が続くものなので,
その裁判だけ傍聴したい場合以外はお勧めしません。
どこでどんな裁判が行われているかは,
その日裁判所に行って法廷の前に行き,開廷表を見なければ
正確には分かりません。
東京地裁だと法廷の数も多いので,探すのが大変ですが,
それも法廷傍聴の楽しみだと割り切って探してみてください。

次に,裁判が始まる時間です。
民事でも刑事でも,裁判が始まる時間はおおむね10時か,
午後に入って1時,3時のどれかが多いです。
午前なら9時30分,午後なら12時30分ころ,
裁判所に入って法廷を探して入っておきましょう。
途中から法廷に入ることができないわけではないですが,
手続の全体を見られないのではあまり意味がないですし,
場合によっては傍聴席が満員で入れなくなってしまうので,
早めに行動するに越したことはありません。
なお,東京地方裁判所なら地下に食堂もあります。

最後に,傍聴に行く前の準備ですが,
裁判手続に関する簡単な解説書を図書館で借りるなどして,
事前に裁判でどんな手続が行われるのか調べておきましょう。
可能であればその本を見ながら,手続がどう進むのか,
確認しておくとさらに分かりやすくなります。

北千住・南千住周辺から裁判傍聴に行くのなら,
東京地方裁判所ということになるでしょう。
東京メトロ日比谷線に乗って霞ヶ関駅で降り,
案内表示を見ながら進めばそれほど迷わないと思いますが,
家庭裁判所に行ってもあまり意味がないので,
(離婚の裁判などはありますが,民事裁判と変わりません)
ちゃんと地方裁判所に行ってくださいね。

投稿者: 豊和法律事務所

2014.08.12更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,③財産分与その他の財産関係の清算,
についてお話しします。

財産分与は,夫婦が結婚後に築き上げた共同財産を,
離婚を機に夫婦に公平に分割することをいいます。

分割の対象は,結婚後の共同財産ですから,
夫婦の一方が結婚前から有していた財産は含まれません。
また,結婚後に取得した財産でも,
夫婦の協力と無関係の財産は含まれません。
例えば,妻が実の父の死去の際,遺産分割協議により,
賃貸に回している北千住のマンションを相続した場合,
この北千住のマンションは分割対象財産にはなりません。
夫婦の一方に帰属する分与対象外の財産(特有財産)を,
夫婦の他方が誤って持ち出してしまったような場合は,
財産分与とは別に本来の帰属者に返還する必要があります。

分割の割合は,原則として夫婦対等に1対1となります。
主として家計を支えていた者には不満かもしれませんが,
夫婦共同生活が営まれていた時期の家計収入は,
共同体としての夫婦の財産であり,
夫婦共同体は夫婦の対等な関与で成立していたのですから,
夫婦の一方の特殊な技能によって高額の収入を得ていた,
等の例外的な場合以外は,基本1対1が公平といえます。

そして,財産分与は,こうした夫婦共同財産の分配以外にも,
慰謝料的要素や離婚後の夫婦の一方の扶養という要素も含め,
分割の割合が決せられることになります。
ですから,不貞行為等の慰謝料発生原因がある場合や,
離婚後に夫婦の一方がおよそ生計を維持できない場合には,
分与すべき財産の額が増額されることになります。

なお,結婚してから日が浅く,夫婦共同財産が少ない場合や,
分与すべき財産があっても,それが預金等の場合は,
原則1対1で分割することでよいのですが,
住宅,特にオーバーローンの住宅の処理が絡むと,
今後のローンの支払をどうするかや保証人の問題,
さらには頭金の負担者が夫婦の一方の両親の場合の処理など,
複雑に問題が入り組んで解決が困難になってきます。
こうした場合,離婚できない不都合を避けるため,
双方が冷静になって協力できる面では協力しあい,
不動産を売却して売却益を分割するなど,
できるだけ柔軟に話し合いを進めるようにしましょう。

当事者間で直接話し合うと,別居に至る経緯などもあって,
どうしても上手く話がまとまらないという場合などには,
弁護士に交渉を依頼しましょう。
当事務所では,法テラスの民事法律扶助の利用も含め,
依頼者の方に最も負担の少ない解決方法を提案しております。
法律相談には土日・夜間も対応,初回60分無料ですので,
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所

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